(ヒュアス前提ユリアス)



(迎えにいくよ、待ってて姉さん)


それはまだ私達が幼い時に交わした些細な弟との約束。もう彼は忘れてしまっているのだろうか。遊郭に売りに出されてから7年……泣き虫だった弟はどのような男に成長したのだろうか。家族とも会えず、ただただ知らない男に脚を開く毎日。自分から媚びて、喘いで、よがって、すがりついて……なんて、バカらしい。もう沢山だ。全て投げ出して、終わらしてしまいたかった。何度もそう考えて何度も迷って。
……でも、そんな私にも一つだけ心残りがあった。




(姉さん、姉さん。僕、姉さんのこと、絶対に迎えにいくよ…迎えに、いくから……!!何年かかっても……何十年かかっても……迎えにいくから……!だから……だからね……)







「……だから……いつになったら首を縦に振るんだよお前は……」
「……ごめんなさいユーリさん。でも……私は……」
「……お前の弟が、本当にお前を迎えにくるとは限らないだろ。それに、迎えにきたとしても何十年かかることだか……」
「……それでも」



それでも、弟と約束したんです




不器用な笑顔でそれだけをはっきりと告げると、ユーリさんは酷い顔をして、何かを言うために口を開こうとした。だけれど、私はその言葉に蓋をするかのようにユーリさんの首に自分の腕を通して、「それでも、今この時だけは貴方のものです」と囁いた。ユーリさんはやっぱり酷い顔をしていた。




「……愛しています……貴方のことを……誰よりも……」



ユーリさんはこれ以上なにも言わずに私に深い口づけをくれた。熱くて、何も考えられなくなるほど強引で……これが弟だったら良いのにと、頭のどこかで思ってしまった私はその思いを否定するかのように……そのまま目の前の彼に身を委ねて目を閉じた。





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